土曜日、かみさん再び撮影ロケ地巡りをしたいというので行ってきた。昨年の淡路島に続いて二度目で、今回は加古川。瀬戸内寂聴の私小説を映画化した「夏の終わり」のロケ地で、他にも「少年H」やいろいろなテレビドラマの撮影にも使われたノスタルジックな町が、そこにはあるらしい。
高速で行くと2時間もかからなかった。周辺は明治末期に創業の日本毛織(ニッケ)の町。工場や社宅、工場跡地にできたショッピングモールなど、その一角はほとんどが社有地らしく、近くにタイムズなどはなさそうなので、ショッピングモールの駐車場に車を駐め、小春日和の暖かい土曜日、古い街並みを散策しながら現地に向かった。
ロケ地マップなどがあるわけでもなく、事前に調べたネットなどの情報を頼りに歩いていくカミさんの後からしばらく従いていくと、狭い路地の先に突如、未舗装の砂利道の住宅街が現れた。かみさんは、携帯に保存した映画のシーンの写真と照らし合わせながら、その場所を探している。古い社宅の裏にある公園、板塀が続く長屋住宅…そこはまるでセットのようなノスタルジーが凝縮された世界、様々な撮影に使われるのもわかる。遠くに見えるマンションを修正で消し、道端に古いゴミ箱などを配置すれば、町はその時代にタイムスリップする。これほど木造とレンガの住宅群が現存している町並みも少ないが、あの富国強兵、殖産興業、女工哀史などの時代の遺産として残しておいて欲しいと思った。