野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">BBQネタ:その4 七輪</span>




1954年に出版されたこのバーベキューの本は、
下にちらっと見えてる「American Way of Housekeeping」と共に
戦後の日本人向けに書かれたアメリカ生活指南書。
どちらも一冊に英語と日本語の両方で書かれてる。
アメリカ人向けには日本でBBQするための便利なレシピ集、
日本人向けには戦勝国が日本をアメリカナイズしようと言う意図を感じる内容だ。
因みに下の「アメリカ式家政法」という本は、アメリカ人の家で働く日本人家政婦向けに
書かれた教育的な内容になっていて、ちょっと屈辱的で面白い。

さて、BBQの話。
日本語では「七輪」と書かれているが、英語の表紙にはHIBACHIとある。
当時の日本在住のアメリカ人がBBQをするための道具として七輪を紹介している。
日本語では「しちりん」というけれども、アメリカ人には読みにくいので
七輪のことを「HIBACHI」と呼ぶことになったと言う解説があり、
その後「FUTON」のように英語化したのでしょう。
当時、すでにアメリカ本土にもこのHIBACHIがBBQの道具として
日本から輸出されていたと書いてあったのは驚きでした。

本の中に当時日本在住のアメリカ人家庭でのBBQパーティのことが書いてありました。
5、6個の七輪を用意して、その筆者の家の庭での「バーベカクテル Barbe-cocktails」。
カクテルにありきたりの前菜を用意するのではなく、串に刺した生の肉や
ベーコンで巻いた牡蠣などを、お客さんが自分で好みに焼けるカクテルパーティは
気が利いてる・・・戦後の混沌とした日本で、生活に喘いでいる人々の暮らしの隣で
そんなアメリカ人の生活があったのかと今更ながら思いました。




さて、前置きが長くなりましたが、
昨年から我が家のBBQも
七輪が活躍を始めました。
遠赤外線効果と強い火力で
旨みを閉じ込めて一気に焼け、
2~4人くらいにはちょうどいい
大きさです。狭い網面に対して、
炭が縦長に重なっているため、
強い火力が確保され、
珪藻土の持つ効果も相まって、
うまく焼くために実によくできた
構造です。
50年以上前からBBQ好きの
アメリカ人も認めていた、
この古くて新しい最強BBQグリルとして、
今、七輪が見直されています。

さて、最初に紹介した「アメリカ野外焼料理」に著者G.E.エングラー氏の
まえがきの最後にちょっと変な翻訳の数行があります。
「私たちの東京在住の友人であるM・ダミン氏は『バーベキューはアメリカの熱狂病』であると
いわれる。正に図星というべきでしょう。が、狂いじみていようといまいと、これは確かに
永続性のある熱狂に違いありません。」
アメリカ人が根っからのBBQ好きだということが書いてありました。
そして、今や長い戦後も終わり、アメリカンホームドラマで育った団塊の世代も、

その二世たちも、アメリカの戦略にまんまと乗せられた日本人の生活があるのです。
でも、まんまとその戦略に乗って、今年もBBQを楽しみたいと思います・・・