野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

即身仏とベートスンの鐘楼

 
 
 
 今日は鐘を巡るふたつのブラックなお話。
 
 
 ひとつは東北に多く現存する即身仏。先日ブロ友さんが記事を書かれていたので、その成り立ちについて調べていました。ご存知かとは思いますが、自らの身体をミイラ化させる壮絶な修行。それは二段階あり、木食修行(食事を極限まで減らして体の水分や脂分をほとんどなくしていく)と土中入定(土中の石室に埋められ読経をしながら死を待つ)と、それは断食なんてもんじゃなく想像を絶するものです。竹の管を石室まで通し、その中で読経と共に鳴らす鐘。息絶えて鐘が聞こえなり死を確認すると、掘り起こし僧侶たちにより即身仏として祀られるのです。
 
 
 そのとき、キーとなるのが鳴らされる鐘の音です。ふと、そのことから急に思い出したのが、2つ目の「ベーストンの鐘楼」という19世紀のイギリスのお話。以前あることを調べていて、偶然世にも奇妙なこの発明品のことを知りました。
 
 
 当時イギリスで猛威を振るったコレラ、19世紀前半にその勢いは四回ほどあり、人々は死に接することが多かった。ご存知のように欧米では死者は土葬が一般的ですが、そんな状況の中で話題になった本があります。『早まった埋葬の危機』~タイトルで何となく想像できると思います。今ほど医学が進んでいない当時、死んだと思って埋葬されたけれど生き返ることもありました。埋められた棺桶の中で生き返る、その恐怖と危険性を書いた本、想像するだけで恐ろしい!当時その本のインパクトは相当に大きく、実際に地下納骨堂で座った姿勢のままの骸骨が発見されると言う、それを証明するような報道もあり、人々は集団ヒステリーを起こしてパニックになったと言います。
 そんな中、ジョージ・ベーストンさんが発明した「ベーストンの鐘楼」という鐘楼付きの棺桶が大人気になりました。死者の手に鐘を鳴らす紐を繋いで埋葬。もし生き返って紐が引っ張られれば鐘がなり周囲に知らせる。なんだか嘘のような冗談のような話ですが、生き返った時の恐怖を少しでも減らすために当時の人は真剣だったんでしょうね。
 
 
 さて、鐘が生死を判断する道具として使われたと言う東西の世にも奇妙な物語でしたが、どの書庫にも入らないヘンな記事になりましたね(笑)
 
 
 
 
イメージ画像(合成)