野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">B級グルメの虚と実</span>


B級グルメの原点

B級グルメ」という言葉は30年近く前の1985年に生まれたそうです。その翌年、文藝春秋の文芸文庫ビジュアル版から何冊もB級グルメの本が世に出て一気に広がっていったようで、その時買った本が2冊あります。

そのシリーズには他にも丼特集の1冊がありブロ友さんのかつ丼探求の資料としてお貸ししたことをきっかけに、B級グルメ本を読み返してみると、いま盛り上がっているB級グルメとは少し違った印象を受けました。

当時の有名な謳い文句「味はA級、値段はB級」からすると、本質的なものは変わっていないものの、勝見洋一氏の「東京のいい店やすい店を探す」には、新橋生まれの筆者が東京で生まれたB級食は「東京の傷の味だ」と思い入れたっぷりに饒舌に語り、職人が磨く「気品ある下手味」へのこだわりなどを読むと、神田まつやのカレー南蛮が無性に食べたくなる。そこには職人の気風や誇りの物語があり、そんな店を探すのがB級グルメの密かな楽しみだったようです。B級はひっそりとそこに佇んでいたのです。フランスでミシュラン審査員の経験もある勝見氏が語るB級グルメには愛情が溢れていました。(桐島洋子氏の夫であった氏は私と同い年ですが今年亡くなったそうです)




昨今、異常な盛り上がりを見せるB-1グランプリを頂点に、B級グルメの人気が過剰に大きくなってくると、30年前に起こった一部のグルマンの密かなB級への探求という視点が失われ、安易な商業主義に走ることへの批判的な意見も出始めたようです

このブログを書くためにネットで調べて初めて知ったのは、B-1グランプリのBはB級グルメではなく、地域ブランドを啓蒙するためのブランドのBだということに驚きました。そしてサイトの中の「B-1グランプリB級グルメ」という記事には、過剰人気になった故の様々な問題に対するエクスキューズが長々と書いてありました。(記事はこちら

この催しというのは「B級ご当地グルメ」を通じて地域の発展を促進するための活動であり、特定の飲食店やB級グルメそのものをプロモーションする意図は全くないことが繰り返し書いてあります。この催しを2006年に最初に始めたのが、青森の八戸せんべい汁研究所であったことからも地域のB級グルメを通じて地域おこしをする意図があったことがわかります。その後主催者は愛Bリーグと改名しています。

面白かったのは、サイトに「B級グルメ」という言葉の起源まで解説してあったことです。元々アメリカのB級映画から拝借したようで、それは作品の質がB級ではなく、あくまで低予算映画ということ。当時ハリウッドで次々にできる新しいスタジオに対して古いスタジオはBスタジオと呼ばれ、低予算映画をBスタジオで撮影したことが始まりだったようです。そんなことをくどくどと説明したのは、乱立してきた悪質なものを批判されてきたことから、質がB級ではなく、安価への工夫をしたことを強調したかったんでしょうね。

いまは、地元に元々伝わっているB級グルメに対して、急ごしらえで乱立するB級グルメが問題になっているようではありますが、食というのは元々時代とともに様々に影響し変化していくものだから、そんなことはあまり気にせずに美味けりゃあいいんですよね(笑)