野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">『55歳からのハローライフ』</span>


留守録してあった先日の土曜に放送されたNHKドラマ『55歳からのハローライフ・第1回キャンピングカー』(原作:村上龍)を見た。
リタイヤ後の楽しいキャンピングカーのある生活を描いたドラマを想像したが、予想に反して早期退職で始まる現実を突きつけられるシビアな内容だった。

キャンピングカー購入を家族に打ち明けた主人公。それはリタイヤ後に夫婦で共有する夢の旅だと男は信じていた。しかしまだ子供が小さい家族ならまだしも、定年を前にした男の突然の発言に、すでに仕事を持つ子供たちも、自分の趣味を見つけている妻も戸惑った。そして、その男の描いた夢には多くの壁があることに初めて気付く。このドラマのキャンピングカーというのは男が思い描く「リタイヤ後の夢の象徴」だった。

そんなドラマを見ながらいろいろな思いが交錯した。自分が定年退職前後、いろんな夫婦の考え方や言い分を自分たちに置き換えて、リタイア後の新しい家庭生活のあり方について話し合うことが多かった。その時出た答えのひとつは、このドラマと同じだった。それはリタイア後の夫婦にとって必要なことは互いに自立すること。会社人間だった男が個に戻ったときに勝手な思い込みに気付くという話も何度か聞いた。

我が家のキャンピングカーについては定年前からかみさんに説得のためにかなりの年数キャンペーンをして(笑)少しずつ現実化させていき、定年の数年前にかみさんも納得の上でオーナーとなれた。かみさんにしてみれば、博打とかラジコンとか主人だけが楽しむ趣味に比べれば自分も楽しさを共有できると思った。しかし、所詮これは男の大きな玩具であり基地であり隠れ家だったりする訳で、妻にとっては何がどこにあってどうなってるのか把握していないから意識はどうしてもお客さん。いつも付き合ってくれるわけじゃない。
そこで考えるリタイア後も夫婦円満なキャンピングカーってなんだろう。

以前、あるキャンプ場の温泉でいかにも手作りの年季の入ったキャンカーのオーナーから話を聞いた。最初は奥さんも一緒にキャラバンを楽しんだけれど、そのうち付き合いきれないと、自然に一人で放浪キャラバンするようになった。キャンカーの屋根に取り付けられたハム無線のアンテナとか何だかわからないような手作りの造作物が満載の車を見てると、何となく奥さんの気持ちも想像できた(笑)ただ一人キャンパーしてると怪しまれることがあるので、今は犬を連れていると言ってたが、確かに濃いキャラだった(笑)

北海道でもまた一人の熟年オーナーに遭遇した。鹿児島ナンバーのキャンカーを北海道で見るのもすごいと思ったが、『北の国から』で有名になった山中の温泉で岩風呂の掃除の手伝いをして地元に溶け込んでいたそのおじさんは、多分そんな風にしてここまで流れ流れて来たのかなとそのドラマチックな放浪生活を垣間見たようで、もっといろいろと話を聞いてみたかった。

またかみさんが友人から聞いた元パイロットのご主人の話。リタイヤしてからキャンピングカーでキャラバンを続けて以来、ほぼ家には帰ってなく奥さんはラクでいいと言ってるらしい。でも今度奥さんを移動先の北海道に呼び寄せて久しぶりに夫婦の旅を楽しむそうだ。

このように定年世代のキャンピングカーの楽しみ方は十人十色。そこでこのような強者たちの行動から考えたキーワードは「家出キャラバン」!

最初の話にあったように、定年後の夫婦は自立している方がいいから、郊外の家と都心のマンションとふたつの住まいを所有して、夫婦で一緒の時もあれば、別々に生活をして、お互いに自由な生活を楽しんでいるという話を在職中にもよく聞いた。それは老後の理想的なカタチかもしれないと思っていたけれどなかなかそこまでは手が届かない。しかしキャンカーなら近いことが実現できる。これからは夫婦の旅のツールとしてだけではなく、積極的家出(あるいは別居、放浪)のための別邸と考えればまた新しい楽しみ方も見つかるかもしれない。

ただ問題は、ヘタレな自分としては長期の家出キャラバンに人も車も耐えられるかですね(笑)






NHKドラマ『55歳からのハローライフ』より
なお、NHKオンデマンドでドラマは試聴できます。