野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">「苔のむすまで」</span>





4月21日のブログに先輩のOさんから聞いた杉本博司のことを書いた。今、大阪中之島国立国際美術館で開催中の展覧会。そしてその予習として「苔のむすまで」を勧められるままに読んだら、結構はまってしまった。

写真家である杉本氏のその本は上質な知識の厚みと深い洞察力に満ちた文章で、好きな谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」や、現代アートに衝撃を与えた便器で有名なマルセル・デュシャンのことに触れていたり、将又、歴史のスキャンダルなど興味のある内容で飽きさせない。しかし、基本的な構造は一人のアーティストが語る日本人とその背景となる歴史と精神世界、そして必然として生まれてくるアートとその考察。何だか飢えてるところとか、乾いてるところに染み込んでくる感覚を味わいました。Oさんが本を読んでから展覧会を見たらいい、という意味がよくわかりました。

2003年に銀座のメゾンエルメスで産声を上げた杉本博司「歴史の歴史」展が海外を回ってさらに拡大されて、昨年金沢の21世紀美術館に凱旋帰国、現在は大阪で6月まで展示中です。金沢では会場の構造もかなり異なるため内容的も違ったようです。現代美術にとって避けては通れない(と、杉本氏のいう)M・デュシャンをグランドオープンで展示した国際美術館は世界的建築家シーザー・ベリの設計で建物はほとんどが地下にある構造。そのデュシャン展もその時衝撃的で?!でしたが、早速来週あたり、この展覧会行ってみよう!