港から観光バスに乗って、まずガイド兼運転手さんが前方を指さしたのはただの信号機。島にあるたった2箇所の信号機の内のひとつだという説明に、思わず乗客はシャッターを切る。という自分も自然にiPhoneをその方向に向けていた。
次に道路上に見えてきたのは、居眠り運転防止や速度を下げさせるために道路に塗装された凹凸のストライプ。実は西表島ではそれはイリオモテヤマネコの保護のためなのだという。そこを車が通る度にその音に反応して道路に近付いてこないようにするためだそうだ。
またしばらく走るとバスは道路工事に差し掛かった。普段は見えないが、道路の下に幅40センチほどのトンネルが設置されているのが見えた。それはイリオモテヤマネコが道路を横断するための地下のけもの道になっていて、その数100箇所も設置されている。保護のために莫大な国の予算が投じられているのだという。
西表島から由布島まで水牛車にゆられるというアクティビティを堪能した後、バスはマングローブの川を上るため港に急いだ。港を離れた船が海から仲間川へと入ると、ガイド兼操縦士さんから教えてもらったことがふたつあった。
ひとつは「川と海の境はどこか知ってますか?」という質問に一同シーン、誰も答えられない。答えは、「最初の橋のある所がその境目です」へぇー、なるほど!橋が架けられるのが川。
もうひとつは「マングローブという植物があると思っている人が多いですがそうじゃないんです」という問いかけにえっー!だとしたらマングローブって何!答えは「海水と水とが混じる河口の湿地にある森林全体のことで、特定の植物の名前ではない」へぇー!それは「ジャングル」などと同じでその植生全体を指してる。
船は川をどんどん上り、最終目的地のマングローブの中に異様な帯状の板根が広がる巨大なサキシマスオウノキに辿り着く。樹齢は400年と言われているらしいが、亜熱帯では寒暖の差が少なく年輪がわかりにくいのであくまで推定。発見された30年前からずっと樹齢は変わってないし、またこれからも変わらないんです、とここで笑いを取る。サキシマスオウノキのあるエリアを見終わって船着場に戻ると、船は港を目指して一気に川を下っていった。