野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">世界規模のサイバーゲーム</span>







これは今も大切に残している18年前の宝物のTシャツです。

この世界初のサイバーゲーム「Swatch net. hunt」は、1996年4月1日グリニッジ標準時0時(日本時間午前9時)にスタートした。問題は1日1問。短い問題文がスウォッチのネットハントのページに出される。そこから世界中の参加者が、世界中のどこかのサイトに埋め込まれた小さな1枚の写真を探していく。その写真は2センチ×3センチくらいの小さなもので、その写真を10枚集めてつなげると、スウォッチの新しい腕時計の写真になる。3人のチームは手分けして、検索サイトを駆使してその写真を探し、早く全部の写真を見つけるのを競い合う。ただ、写真を集めればいいというのではなく、最後に一つ一つの写真の下に書いてある10個のアルファベットを集め、それからひとつの文章にしてメールで送る。その受け付けが順位になるのだ。

ところで、その問題を解く鍵となるのが検索エンジン。その1996年頃のインターネットのブラウザといえば、モザイクからネットスケープナビゲーターが主流になった頃、日本の検索サイトはまだまだお粗末な状態で、もちろんグーグルはまだない。日本には大学生が作った検索エンジンが出始め、やっとヤフージャパンがサービスを開始し始め、infoseekなどのロボット型検索エンジンも少しずつ出始めていた。検索サイトは海外の方がかなり進んでいた。

そんな状態の中でゲームはスタートした。多分、その時使っていた古いマックのメーラーには、その10日間あまりのゲーム期間中の、私のチーム3人のメールのやりとりが残っていると思いますが、それは100通を超えていました。イギリス人とアメリカ人と日本人と3人のチームだから、うまく時差を使ってそれぞれの持ち時間で考え、検索し、探し、それをバトンタッチしていくという方法でしたが、問題はやはり言葉の問題、生活習慣の問題など東洋人の私にはかなり不利な状況でした。
どんな問題が出されたかというと、全部は覚えていませんが、例えば一番簡単な問題は「その島には音楽が流れています」というような英文。答えは「アイランド・レコードというレコード会社」のホームページ。また別の問題では「ジェット機で旅する人々(というひとつの単語)が赤いカーテンをくぐっています」というような英文。答えは「ミグ戦闘機へ試乗できるツアーのサイト」。他にも「666」という数字が並んだ問題もありましたが、当時この数字が不吉な意味を表しているというのは日本人としては理解できませんでした。いずれにしても、問題はとても短い文章で、それを推理しながら検索していくという作業が続いたのです。

このように毎日GMT0時に1問出題され、5問過ぎた中日に1日休憩が入り、後半の5日間へと続きました。我々のチームはアメリカ人とイギリス人が頑張って比較的順調に進んでいました。ところが、後半になってくると、時々知らないイタリア人などからメールが入りました。「君たちは第5問の答えはわかってるようだから、私達の第6問の答えと交換しない?」という取引です。なんかイタリア人らしいと思いました(笑)

こうして10日間のゲームは終わりました。私はいくつかヒントを提供したり、答えの写真を合成していったりしましたが、残念ながら答えを直接見つけることはできませんでした。しかし結果はなんと世界で10位台に入りることができました。今でもそのサイトが残っていて、優勝グループのオーストラリア人×オランダ人×アメリカ人の3人の写真も載っています。3位には日本人の名前もあります。しかし、残念ながら我々のチームは名前をつけてなく、代表者の名前が載っているだけで、しかもその名前も覚えてないので、10位台の中のどれかは不明です。ただ、手元にはしっかりと賞品のTシャツは届きました。

当時、毎日興奮しながら検索したりメールを書いたりし、この面白さを共有したいと会社でも話題にしてみましたが、あまりピンとくる人がいませんでした。その頃の日本のネットの状況は今と比較にならないくらいにまだ成熟していませんでした。それ以降、ネットゲームは一般的にはなりましたが、このような形の世界規模のライブなコンペティションというはあまりなかったかもしれません。ネット黎明期にスウォッチが仕掛けたこのイベントに参加することができ、今となってはいい思い出です。