野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">ビーチ・ボーイズ大阪公演</span>


 昨日のビーチ・ボーイズ結成50周年の世界ツアー大阪公演はすごかった!

 7時から始まったライブは「名前のない馬」などのヒット曲で70年代に活躍した「アメリカ」の前座から始まり、予測に反して1時間も演奏し、その後30分のセッティングがありと、最初から予想外の展開。でも、「Do It Again」から始まったブライアン・ウィルソン率いるビーチ・ボーイズの美しく力強い演奏と歌が始まると一気に会場は盛り上がった。最初の曲は全く予想はしていなかったけれど、メッセージ的には心憎いばかりだし、そういえば、最新アルバム日本盤にはこの曲のニューバージョンがボーナストラックとして入っていた。

 そして曲は続き、勢いのいいサーフィン&ホットロッドという初期の曲と夏らしい映像がちょっと蒸し暑い会場の熱気をさらに盛り上げる。今まで、ブライアン単独のライブでビーチ・ボーイズの曲は何度も聞いたけれど、やはりアル・ジャーディンの美声とマイク・ラブの独特の声があってのビーチ・ボーイズ、美しいハーモニーは50年経っても素晴らしく、圧倒される。やはりビーチ・ボーイズにはこの明るさと夏が似合っている。予想外に多かった若い観客も大ノリだ。

 すでにネット上のあちこちで公開されているセットリストを見ると、東京公演では33曲、大阪公演では36曲。その差3曲の中には「アメリカン・グラフィティ」のサントラでも使われた「All Summer Long」や、大ヒット曲の「Do You Wanna Dance?」が含まれて、ちょっと得をした気分だったが、東京公演のアンコールにはクリストファー・クロスが参加したらしい。実は会場に向かうタクシーの中で、なぜか運転手さんが今日の情報リストを持っていて、今日の中央体育館は山下達郎でしょう?というので、いやビーチ・ボーイズです、と言ったものの、ひょっとして飛び入り?と想像もしてみたが、あれは何だったんだろう(笑)

 セットリスト専門サイトでこの世界ツアーのリストを見ていると、アメリカでは40曲以上、ドイツでは50曲のところもあった。あの「Darlin'」「In My Room」や「Disney Girl」もあり、日本で聞けなかったのが残念。「Disney Girl」と言えば、ブルース・ジョンストン。彼はあの「I Write a Song」の偉大なソングライターでもあるが、日本公演ではソロがなく、控えめだった。また、初期にアルが休止中にグループに一時期だけ参加していたデビット・マークスが今回の50周年のリユニオンに参加しているけれど、初期の曲に印象的に入っているギターソロで結構会場を盛り上げた。

 そして、今は亡きデニス・ウィルソンとカール・ウィルソンは、今回のツアーでは映像と歌で競演した。改めて今、ドラマーのデニスが作った曲の普遍的な美しさを感じる。歌ったのは「サンフラワー」に入っている「Forever」というマイナーな彼の自作曲だけれど、ブライアンが作ってデニスが歌った名曲「Surfs' Up」と同じくらい好きになるかもしれない。そして、その曲の後、カール・ウィルソンが歌った最大の名曲である「God Only Knows」へと続いた。

 ブライアンの初期の曲の美しいファルセットボイスは、最近ブライアンのツアーにずっと参加して今や彼の右腕として欠かせない存在になっているジェフリー・フォスケットがサポート。しかしブライアン自身もあの独特の世界観をもった「スマイル」からの「英雄と悪漢」「グッド・ヴァイブレーション」、「Sail on Sailor」などのヴォーカルが印象的だった。しかし、彼の最大の功績は、パフォーマーというよりソングライターとして、プロデューサーとしてここまで作り上げてきた偉大なそのプロセスだ。このライブには彼の最近のバンドメンバーがバックに参加しているが、何より彼の存在感とクオリティの高さが光る。

 また今回のライブで意外だったのは最新アルバムからの曲が2曲しか演奏されなかったこと。改めてセットリストでのアルバム分析を見ると、幅広くいろいろなアルバムから構成していて、今回が50周年記念ライブというストーリーになっていることがわかる。この十年くらいブライアンが神格化され彼の活動ばかりが目立ったが、本来のビーチ・ボーイズが多くの困難を乗り越えてやっと再生されたことの意味は大きい。

 2012年夏のこの最高のパフォーマンスをプレゼントしてくれた70歳のブライアン・ウィルソンに感謝すると同時に、いつまでも元気でまた新しいサプライズを届けて欲しいと願うのは私だけではないと思う。




▲大阪では珍しい大阪市中央体育館朝潮橋)での公演


▲世界の公演地名の入ったツアーTシャツ



●関連情報
大阪公演セットリスト(全曲試聴可能)
東京公演セットリスト(全曲試聴可能)