野営車でいこう(VWT4版)

旧野営車エクスプローラ 2009〜2016年の記録

<span itemprop="headline">佐渡裕指揮ウエストサイド物語</span>





 先週の21日、午後1時から映画「ウエストサイド物語」50周年を記念した佐渡裕指揮・東京フィルハーモニー交響楽団のシネティック・フルオーケストラ・コンサートに行ってきました。全篇をスクリーンの歌に合わせた、フルオーケストラの生演奏を楽しむという珍しいスタイル。

 この映画のオリジナルサウンドトラックの演奏をそのまま再現するにはとてつもない数の人と楽器(例えばたった30秒のシーンにピアノが5台)が必要らしく、それをコンサートで再現するようにスコアを再構築(しかもオリジナルスコアは現存していない)するところからこのプロジェクトは始まったようです。

 日本での全6公演の初回のこの国際フォーラムのステージ。最初の佐渡さんの挨拶で、みなさんは楽しんでいただけますが、私たちは大変です、と笑わせましたが、それは見ていてもわかりました。耳のイヤホンを左手で押さえながら指揮をし、分厚く大きなスコアブックをほぼ1分おきくらいにめくり、サウンドトラックの歌だけでなく随所に出てくるフィンガースナップや緊張感のある踊りとのタイミングと、生演奏をピタリとあわせることは大変な作業だとは思いました。

 初めはご存知のようにあのソール・バスのデザインによる摩天楼をラインにしたシンプルな画面にあの序曲の演奏が始まり、フルオーケストラに惹きこまれていきます。
 そして、序曲がマリアやツゥナイトの美しいメロディになるあたりでバーンスタインの世界に酔います。
 しかし、セリフや歌が始まり物語が進んでいくうちに、ついつい映画そのものに惹かれていき、そこで演奏をしていることを忘れてしまうことも、正直度々ありました。
 それは、S席にもかかわらず、前方の端だったので画面と演奏とが同時に見れなかったせいかもしれないですが(笑)

 映画は1961年に初公開され、多分自分が見たのは62年の中学の頃、そのサウンドトラック盤は生まれて初めて買ったLPレコードでした。その後、映画は劇場やDVDなどで、さらにブロードウェイミュージカルのステージ版でも何度か観たことがあります。コンサートに来ている同じ世代に、この作品が与えたインパクトや影響力は多大だと思います。

 コンサートが終わり、スタンディングオベーションの鳴り止まない拍手に、感極まる佐渡さんの表情には、この演奏の大変さや緊張感、恩師バーンスタインの作品への使命感のプレッシャーなどがにじみ出ているように感じたのは私だけでしょうか。